坂 口 安 吾

『言うまでもないことだが坂口安吾は、いわゆる私小説家ではない。
 自分の日常生活の体験とか、こまごましとした身辺雑記とか、おりおりの心境とかを、虚構を交えずそのまま、めんめんと綴って、
 それを小説と称した日本の狭い閉鎖的な私小説作家とは、もっとも距たった(へだたった)場所にいた作家であった。
 処女作「風博士」以来、 坂口安吾は生涯なにものにも束縛されない奔馬天を征く(ゆく)がごとき人生を送り、奇想天外な発想、
 大胆な方法を駆使した小説、評論を書き続けた。
 (・・・中略・・・)・・・坂口安吾はふだん自分の父母や家や生立ちや日常生活をそのまま語ることを自ら禁じ、拒否しまた嫌悪して
 きた作家であるだけに自伝的小説を書くということは、 彼にとってほとんどタブーを破ることに等しい稀有のことであった。』
                               
 〜以上、『暗い青春・魔の退屈』坂口安吾(角川文庫) 
                                        昭和60年12月20日25版発行 「解説〜奥野健男」より、抜粋。

    「二十一」   (昭和18年9月・21歳)、   
    「暗い青春」  (昭和22年6月・25歳)
    「青い絨毯」  (昭和30年4月・25歳)   
    「二十七歳」  (昭和22年3月・27歳)
    「いずこへ」  (昭和21年10月・29歳)  
    「三十歳」   (昭和23年5〜7月・30歳)
    「死と影」   (昭和23年9月・30歳)

これら、年代記風のかたちで、是が非でも書き残しておきたいという強い願望を抱いて(上記文庫解説より)書かれた青春期の自伝的
私小説と同じように、「居酒屋の聖人」も自伝的作品として書かれたうちの一つである。
『「石の思い」をプロローグにして年代期的自伝長編を初めて復元し、さらにいくつかの自伝的作品を収めたものであり、青春小説の
集大成として異色の編集ということができる』(解説・奥の健男)
坂口安吾を読み慣れない方にも、この文庫本はお薦めできる一冊である

                                            ――以上、「居酒屋の聖人」に寄せて
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番号 作  品  名 収録年月日/備考
01

風博士(1) (2)

2006/09/22
02

私は海を抱きしめていたい(1) (2) (3)

2006/10/15
03

居酒屋の聖人

2007/04/24
04 アンゴウ   2008/08/23〜/28
2009/08/15 更新
05